1970年4月23日、愛知県知多郡美浜町の若松海岸で、人の左足とみられるものが見つかった。同年5月4日には三重県桑名郡(現・桑名市)長島町松蔭の揖斐川(いびがわ)左岸の波打ち際で、もう片方の足が見つかった。
足はパンプスを履いており、遺体の状況から20代で立ち仕事をしている女性である事が判明したが、身元は分からなかった。警察は何者かが女性を殺害し遺体を解体、遺棄したものとして調べを進めていたが、事件発生から15年後の1985年、犯人が見つからないまま時効が成立した。
時効成立から7年後の1992年3月、名古屋市北区のマンションの住人から「異臭のする衣装ケースがあり、中に遺体のようなものが入っている」と通報があった。警察が駆けつけたところ、衣装ケースの中から毛布やビニール袋に包まれたミイラ化した女性の上半身が発見された。通報したのは家主の妻で、家主である男性(当時43歳)に話を聞いたところ、21年前の事件の犯行を自供した。
男性は調べに対し「当時、名古屋市千種区内のマンションで同居していたホステスと口論になり室内で首を絞めて殺害した。両足をのこぎりで切断し、木曽川へ運び遺棄した」と供述。警察は未解決事件として時効が成立していた先述の事件について男性の供述に基づいて調べ直したところ、鑑定結果や遺体の断面などから同一人物であることが分かった。
殺害されたのは三重県出身の横倉カツ子さん(当時24歳)と判明。当時、男性はバーテンダーをしておりお店で知り合ったカツ子さんと同居していたが、カツ子さんの帰宅が遅いことを理由に口論になり、殺害したという。その後男性は別の女性と結婚したが、カツ子さんの上半身のみの遺体を衣装ケースに入れてずっと保管していた。
男性は妻に対し、「この箱は刑務所にいる友人からの預かり物で大切なものだから、絶対に触ってはいけない」と話していた。妻は約束を守っていたが、ある時衣装ケースから異臭がしてきたため、箱を開けたところ遺体が見つかったという。男性は遺体の入った衣装ケースを長年保管していたことに対して、「捨てる機会を逸していた」「土に還してやればよかった」と述べている。
警察は書類送検したが既に時効が成立していることから、男性が起訴されることはなく、男性の詳細についても明らかにされていない。