小学校時代の話。
俺が住んでいた家から少し離れたところに廃墟があった。2階建てのアパートで壁はコンクリート。不良の仕業だろうかほとんどのガラスは割れていて、壁も落書きだらけだった。不良と廃墟マニア以外はあまりこの場所に近づかなかった。
夏休みのある日、友達とこの廃墟で肝試しをすることになった。と言っても小学生なので昼間の明るい時間帯。ドアは壊されていたから簡単に中に入れた。
さっそく2階まで上がって探索を始めた。いくつかある扉のうち1つだけ文字が書いてある事に気付いた。その扉に友友達と近づいて確認すると「わたしは このさきの へやに いるよ」と書いてあった。
「ヤベーよwちょー怖いじゃんw」とふざけながら扉を開けて中に入った。どうせ誰かのイタズラだろうと分かってはいたが肝試しを盛り上げるために「ウワーこえー」と声をあげていた。
少し歩くと左右に道があった。目の前の壁には「わたしは ひだりに いるよ」と書いてあった。指示通り左に進んだ。進んでいくにつれ光が入らなくなり建物内は暗くなっていった。少しだけ怖くなった。
すると道は行き止まり。両側にドアがある。目の前の壁には「あたまは ひだり からだは みぎ」と書いてあった。友達はこれを見た瞬間叫びながら走って逃げだした。
俺は勇気を振り絞って右の部屋のドアを開けた。部屋に入ると進んでいくと壁に「わたしの からだは このしたにあるよ」と書いてあった。
下を見ると「ひだりの へやから わたしの あたまが きてるよ うしろをみないでね」。
俺はその部屋の窓から飛び降りた。幸い2階だったため足を捻挫した程度で済んだ。足を引きずりながら急いで逃げた。それからはもうその場所には近づいていない。