10年くらい前の話である。おれは友達のAとBと夜に肝試しに行った。
最初は冗談話をしたりして楽しくはじまった肝試しだったが,山奥に進んでいくにつれだんだんと不気味な雰囲気が出てきた。それでもまさか出るわけないとおもっていた俺ら3人はもっと奥に進むことにした。すると、Aが古びた雰囲気のある小屋を発見した。夜も遅かったので今夜はここで泊まろうとなり3人は全員一致で賛同した。
そこで、しばらくはゲームをしたり本を読んだり,話したりして楽しい時間を過ごしていたが,いつの間にか3人とも爆睡して,気づいたら朝になっていた。すると,Bがいきなり「何のんびりしているんだ。早く帰るぞ。」と俺とAに言った。そこで俺は「なんだ、夢でも見たんじゃねーの。どうせ寝ぼけてるんだろ。」Aは「まだ眠いからもう少しゆっくりしていこうぜ。」とその時はBの言っていることがなんのことか分からなかった。するとBが無理矢理俺とAの手首を掴んで急いで荷物をまとめて小屋から走り逃げた。「詳しいことは後で話すから。」そう言って,結局3人は山の麓まで来てしまった。
俺とAは口を揃えて「一体何があったんだよ。」とBに問いかけた。すると、Bは3人の中で一番眠りにつくのが遅かったらしく,俺とAが寝た後で小屋に入ってくる白い服を着た老婆を見て、恐怖のあまり倒れてしまい気づいたら朝になっていたという。という。俺は「どうせ眠かっただけだろ。」と言ったが,Aは真剣な顔をしていた。「もし話が嘘なら,Bがあんなに急いで山を駆け降りるか。」確かに言われてみればその通りだ。俺たちは怖くなり,その日は解散した。
しかしやはりあのことが気になり,1ヶ月後にあの小屋まで3人で行ってみることにした。すると3人は驚きのあまり言葉も出なかった。なんと小屋の中には謎の道具が大量に散らばっていた。その中には呪いに使うような藁人形や釘までもが置かれていた。するとBが落ちていたカメラが気になったらしく,それを拾って中の映像を見てみた。すると中にはあの日の夜に、3人が小屋の中で楽しく話している映像が映し出されていた。映像には窓枠が見えており,どうやら外から撮影しているようだった。他の写真も見てみると,3人が寝ている写真や山の麓でBが俺とAにあの日の夜に起きたことを話している場面までもが映されていた。そのカメラのレンズの上には「やまかめら444」と書かれていた。ただ、Aが恐怖のあまり汗でドロドロになった手からカメラを落としてしまい,その衝動でカメラが壊れてしまった。すると外から白い服を着た老婆が中に入ってきて刃物を持って襲いかかってきた。俺たちは叫ぶ暇もなく俺が中の道具で窓ガラスをかち割りそこから3人は脱出した。しかし、どれだけ逃げても老婆は全速力で追いかけてきたので3人は逃げきれずについに老婆に捕まってしまった。その顔は俺たち3人を無言で凄い形相で睨みつけていた。しかし、周囲に他の登山客が来たので老婆は急いで小屋の方へと帰っていった。
それ以降あの小屋へは行かないと3人で決め,怖くなったので警察に通報した。しかし警察が小屋に近づくと老婆は全速力で小屋から逃げ出してしまったという。警察がそこで小屋の中を調査したところ,そこには3人の話している写真があり,大量の釘が打ち付けられていたという。そこで警察は息を殺して小屋の影に隠れて1日監視した。すると老婆が帰ってきたので,物音ひとつ立てずに小屋の中に侵入した。そして老婆を強い手で捕まえた。その後老婆は全ての事情を打ち明けてくれたという。この小屋はもともと老婆の夫が建てたが,夫が死んでからは管理する人が老婆自身が管理するようになったという。そしてあの日の夜に老婆が小屋を掃除しようとしたところ3人が話していたため勝手に入られたことに腹が立ち,写真を数枚撮影して呪おうをしていたという。それからは3人も勝手に小屋に侵入したこと,そして老婆も写真を使って呪おうとしたことを互いに反省し,この件は終わりを告げたため,3人は安心して帰った。
しかし、あの件以降俺含む3人は警察が調査をした日以降怪我することが多くなったような気がする。やはり、あの老婆は俺たちを未だに呪っているのだろうか。