私の姉の話です。母は霊感が強かった人でした。母の家系には、四国の山奥で神主(拝み屋さん的な事もしていたらしい。)していた人もいました。
でも、母はどちらかと言えば霊感についてはそうこだわったことはなく、夢のお告げで家族の危険を防いだりしても、「こんなこともあるのね。ありがたいわ。」位にしか思わない人ではありました。
自分の夢がお告げである事も、拝み屋さんに言われてはじめてそうなのか、と、思った位の無頓着な人でした。
母が、何かの折りに言っていたのですが、死後の世界について、死んでみないとわからないことだから、私が死んだときは二人に(私と姉。)教えてあげるといっておりました。
私たちは、別にそんなことはいいわ。長生きしてもらうのが一番と答えていました。(いいや、絶対、教えてあげる。と、いたずらっぽくよく笑っていました。)
さて、その母が、亡くなりました。
私も姉もショックでしたが、同居してなかった姉の方が私よりはショックだったようです。
お骨になって3日位でしょうか。姉が何か聞こえると言い出しました
私は、姉がショックでおかしくなったと思いました。
姉が言うには、お経が聞こえるのだけど、ものすごく音が乱反射して怖い感じがするというのです。(強いて言えば大きなお椀を伏せてその中でお経が反射している感じと言ってました)「お母さんがそこにいて、一生懸命お題目を唱えながら、行っている。なぜかお母さんとシンクロしてる感じなんだけど、足はあるんだろうけど感じられない。強いて言えば膝でいざってお経のリズムにあわせて重たい体を進めてる感じなのよ。」
その夜、私は、夢を見ました。真っ暗な中に母の後ろ姿があって、母は、歩いて行っているのですが、その、斜め頭上の高いところに大きな額縁のようなものがかかっていて、お題目(家の宗派の)なのですけど、普通、黒い文字のところが空いていて、向こうに溶岩がどろどろに溶けたような炎が透けて見えているのです。それに向かって、向こうに母は、行っているようでした。
実は、私は、同様な夢を以前にも見たことがありまして、祖母が、13回忌の年に、真っ暗な中を進んでいる祖母を後ろからただ、眺めている夢でした。祖母は、親類から供養をもらえていない人で、そこが無明荒野であるとなんとなく感じました。(不思議なことにテレパシーのように頭に浮かんだのです。)本当に光がない真っ暗な場所で、さみしいところだなーと思ったのを覚えています。
母の時は違いました。お経がいくべき方向の目印になっていたようでした。家族や、僧侶のお経が大事というのは、こういうことなのかと、夢から覚めて思いました。
うちは仏教なのでお経ですが、キリスト教でも何でも、お題目のようなものはあると思いますので、それぞれの宗派のものでも同じような役割を果たすのだろうなとは、思いました。
次の日姉は、「おかあさん、お経に節をつけて唱えながら、行ってるよ少し明るい感じの場所みたいに感じられた」と言っていました。
実は、私は、お経をあげながら、神様仏様が私たち家族の代わりに成り代わって家族となり友達となって、母を導いてください。つらい、さみしい思いでなく、小道を楽しく行けるようにしてください」と、祈っていました。誰にもその願っていることは伝えてはいませんでしたが、
7日めは、「誰かそばにいる感じで友達と山歩きしてる感じだった小枝を振りながら行ってる感じ。」と、姉からきいて、お願いを神仏が聞いてくれてるのかもね、と、姉と話しました。
暗いところではなく日がたつにつれて明るくなっている感じで、7日めには、明るいところだったと言ってました。
その頃から小鳥のきれいな鳴き声が聞こえると言っていました。
その辺りで、母の夢を見ました。
母と、畑に座っているのですが、普通に他愛のない話をしていた母が、不意に、うつむきながら、「ごめんな」といったのです。
そのごめんが、「死んでしまってごめんね。」という意味だとすぐにわかりました。「仕方ないが。そういうこともあるわ。気にせんでいいよ」と、私は答えました。母は、ハラハラと涙を流しました。「泣かなくていいよ。がんばるから」と、私が答えたところで目がさめました。
姉にいうと、「私には夢にも出てこないわ。音が聞こえるだけで。なんか、南のガムランみたいな音がして、インドネシア辺りにいる鳥の声が聞こえるところに行ってるみたいよ。南○ほー南○ほー、南○ほーほー○○きょうなんて、勝手に節つけて歌ってるし。」と言ってました。
ある日、あるお寺にお参りにいきました。(檀家ではない)宗派は違いますが、姉と私に起こったことを話しました。
お坊さんは黙って聞いていましたが、「なくなった人の声が聞こえるようになった人がいるのはまれに聞きます。一年位したら、自然に聞こえなくなる方が多いですけどね。もう、すむ世界が違うのだから、できるだけ気にしないようにしてくださいね。」と言って、白い小石を持ってくると、私と姉にそれぞれ違う梵字を書いて一つずつ渡してくれました。
「文字が消えたら消えたでいいですので、お守りに持っていてくださいね。」と言って。
それから一年位は声が聞こえると言ってましたが、だんだん高いところからしたに向かって言ってるような声に変わったと言ってました。
「ごーめーんねー!○○ちゃん!もう、終わりにするからー!わたしが引っ張り過ぎたから~!」
それが母からの最後の交信だったらしいです。
何か聞こうと思えば聞こえそうだけど、あえて聞かないようにしてからは、ハッキリ聞こえなくなったと言っていました。
(面白いのは、ハッキリ向こうの声が聞こえている頃、あるとき、向こうでいろいろな声がしてて、何を言ってるか耳を澄ましていて、話していることについてへー、そうなのかと思ったところでピタリと会話が止まって、お前が何で聞いている?と聞こえたあと、ピーッと、音がしだして会話が聞こえなくなったと言ってました。テレビでよく、ピー音がしますが、あっちの世界でも聞かせたくないことに関してはピー音がするんだと感心したように言ってました。話の内容はこの世の成り立ちとか、仕組みみたいな話だったと言ってました。)
姉に起こった不思議な話でした。