『 箱男 』をあなたは知っていますか?
段ボールのようなもので出来た箱を頭にかぶった男の呼び名です。
日本のあちこちで目撃されており、話題になったかと思うと、いつの間にか忘れられている謎の男。
この男が、なぜ顔を箱で隠しているのかは、誰も知りません。
ただ、いくつかの噂はあります。
顔にひどいヤケドを負っているため、見られないようにだとか、逆に大変美しく印象的だから、顔を覚えられないようにだとか。
中でも、もっとも恐ろしい噂は、箱男はすでに死人であるというもの。
無残に殺されて箱に詰められた男が、復讐の相手を探して彷徨っているという話と、首を切られて死んだ男が、無くした首を探して彷徨っているという話と・・・
では、箱男はいったい何をするのでしょう。
箱男の目撃談で、共通していることがあります。
それは、突然道の先に現れて、箱の頭を小刻みにゆらゆら揺らしながら立っている、というものです。
それを見た人は、急に視界がグラグラと揺れだし、だんだん箱男の輪郭が曖昧になり、激しいめまいを起こしてしまうそうです。
中には、気を失って一晩中道の上で倒れていたという人も。
ある女性は、仕事を終えて家に帰ろうと、商店街を通り、角を曲がった途端、箱男に出会いました。
箱をかぶった頭をゆらゆらさせながら、じっと佇んでいたそうです。
そして箱男の身体は、女性に対して正面を向いていたそうです。
女性は、その異様な姿に驚き、よく見ようと目を凝らしましたが、なぜか視界がグラグラと揺れてしまい、はっきり見えなかったそうです。
そのうち激しいめまいが起きたので、大急ぎで箱男の横をすり抜けると、走って家に逃げ込みましたが、家のドアを開けた途端に気を失い、玄関先に倒れているのを家の人が見つけたということです。
幻覚を見た人も少なくありません。
ある男の子は、塾の帰りに箱男に出会いました。
この時、箱男は男の子を追いかけてきたそうです。
怖くなった男の子は、近くのコンビニに駆け込んで助けを求めましたが、コンビニの店員がみんな箱をかぶって、無言で頭を揺らしていたと証言しています。
ただ、箱男は決して無言ではないという話もあります。
あるサラリーマンは、箱男が「ギギギギギ・・・」と虫の羽音のような音を出していたと言い、別の女子高生は、箱男が「シマエ、シマエ、シマエ・・・」とつぶやいているのを聞いたと言います。
箱男の目的は一切分かりません。
でも、周りの誰も知らなくても、箱男は突然あなたの前に現れるかも知れないのです・・・・・・