今から10年くらい前の話だけど、当時学生だった友人は北陸線を利用してて俺の家は駅から近くてさ、二人で遊んだ後は俺が駅まで友人を見送るってのが日課だったんだ。
で、いつも通りに駅で喋りながら友人が乗る列車を待ってたんだけどその日はいつもの列車とは違う列車が現れたんだよ。いつもは3~6両編成の列車なのに青い車体が10両以上も繋がっていて。最後尾のほうなんてホームからはみ出ていた。
ちょっと古臭い感じもしたけど同じ方向だし面白そうだから乗っていくって言ってそのまま乗っちゃったんだよ。随分とレトロな外観のせいか友人が進んでいった入り口はやけに真っ暗で変な感じがした。
見送りが終わった俺は家に向かって歩いていると別れたばかりの友人から電話がきて、出てみるとなんか慌ててるんだよね。車内は電気一つついてないから薄暗いし乗客も誰もいない、窓は黒く塗りつぶされてて線路の上を走る振動も全然ない。えらく静かで唯一聞こえてくる音と言えば「次はごしょう、ごしょうが最終地点です」というアナウンスだけ。
聞いたことの無い駅名でなんとなく不安になって電話したとの事。
その後友人は行方不明となり今だに見つからない、あの電話が友人との最後の会話だった。
調べてみたけどそんな名前の駅は台湾にしか無かった。友人は一体どこへ行ってしまったんだろうか。