中学時代、俺は友人とAとBと一緒にレンタルDVD屋に行った。
まあ、そういう時期だった俺らは入るや否やアダルトビデオコーナーに直行した。しかし店長に見つかってしまい店の隅で叱られたが、それだけで済んだ。するとAが端の方に埃が被ったいつのものか分からない真っ黒なDVDがあった。Bは「おーすげえ。きっとこれは「お宝」に違いないな。借りようぜ。」と言ってきた。でも俺はさっき怒られたので「やめとこうぜ。またバレたら怒られるぞ。」と言った。でもAが「大丈夫だ。」と言って結局借りることになった。
でも、そのDVDのレンタル料だけ他のものと比べて異常に安かったのが俺が嫌がった本当の理由だ。「これは何か曰く付きのものでは・・・」俺は内心そう思っていた。それをレジに持って行ったら怒られることはなかった。だが、店員が「本当にこれを借りるんですね・・・」と何度も質問された。俺は「絶対にヤバいやつだろこれ」と思っていた。でもAとBは「きっと店長に俺らに貸したのがバレたら怒られるから何度も質問したんだろww」などと言っていた。
そして俺は2人に「なんでこのDVDだけ、こんなに安いんだろうね。」と質問してみた。するとAは「あまりにも人気すぎて、いろんな人に見られてボロボロだからじゃねww」と返してきた。俺は「ホントに危機感がないなあコイツらは」と思った。
そして俺らはBの家でそのDVDを見ることにした。しかしどんな操作をしても画面が真っ暗なだけで何も映らない。俺は「不良品だったのか。だからあんなに安かったんだな。」と腹が立った。他の2人も同様だったようで、俺らはあのDVD屋にクレームを言いに行こうとした。しかしBがプレイヤーからDVDを抜こうとしてもなかなか抜けない。するとAは「仕方ねえ。プレイヤーごと持っていくか。」と言ってプレイヤーごとDVD屋に持って行った。
しかし先ほどの店員に「もう支払ったんですよねえ。残念ながら、クレームは受け付けておりませんよww」と言って引き返された。するとBは店員の胸ぐらを掴んで「んだよその対応は。このプレイヤー高かったんだぞ。弁償しろや!!」と言った。しかし店員は手を離して去り際に「チッ。やっとあれを買い取ってくれるやつが現れると思ったのになあ。」と言ってきた。
家に戻ってもBの怒りは収まらなかった。俺とAは必死になだめようとしたが、全く怒りは収まらない。
俺は不意にDVDのパッケージの中を見た。すると中には黒い紙が入っていた。その中には「◯レ◯◯た◯な◯◯呪◯◯◯」と書かれた下に1964と書いてあった。どうやら相当古いもののようだ。◯の部分は消えていて何も見えなかったが、何やら物騒な内容なことはすぐ分かった。
俺はAと機嫌が直ったBと一緒にこのビデオは返却日まで見ないでおこうということになった。結局、その日はそこで解散となった。
翌日の学校、Bがなぜか欠席していた。先生によると体調不良だそうだ。俺とAは学校の帰りにBの家に寄った。すると家の中のBは何やら訳の分からない踊りを踊ってボソボソと何か呟いているようだった。Bの両親は仕事でいなかった。俺とAはその異様な光景に言葉も出なかった。とにかくこの場所にいてはいけない気がして一緒に家を出た。外で俺はAとBがあのDVDを見たのではないかということを話した。そこで俺とAはDVD屋に行ってみた。
どうやら昨日の店員はいないようだ。俺は別の店員に昨日のことを話した。しかしその店員に「そのようなDVD、うちでは貸し出しておりませんよ。」と言われた。するとAが「俺の友達が大変なことになってんだよ!!まだ隠すつもりか!」と店員の胸ぐらを掴んだ。そこで店長が来て一旦は収まったが、俺とAは社員部屋で話を聞かされた。
そして最終的に俺らは店長にBの家に連れていくように言われた。
そして俺とAと店長がBの家に着くと、まだBは踊り狂っていた。さすがに店長も青ざめていた。そして俺はプレイヤーから抜けなくなったDVDと黒いパッケージを店長に見せた。すると店長は「やはりこんなものうちでは貸し出してませんよ。騙そうとしたって無駄だよ。」と言ってきた。
しかしその直後後ろにいたBが突如「もうこの世も終わりなんだな。ハハッ。何もかも終わりダァァァァァ」と言って包丁で自分の腹を刺そうとしていた。Aが必死で包丁を取り上げてBを引き留めたところ、Bが正気に戻った。Bは「あれ?俺、何をやっていたんだっけ。」と言って直後に「そうだ。昨日の深夜、親にバレないようにこっそりとあのDVDを見たんだ。でも、なぜかその内容を全く覚えていない。そして気づいたら朝になっていた。なぜかとても体調が悪くて、学校を休んだんだ。そして親が出て行った後からのことも、また記憶にない。」と語った。
さすがに店長も貸し出したことが分かったようで貸し出した店員があの店員であることを言った。そこで昨日の店員をBの家に呼び出した。店員はもう隠すのも限界が来たと思い全てを明かした。
「俺は、学生時代いじめられっ子だった。そんな俺は高校生の時耐えられなくなって家にあったDVDを黒いパッケージに入れて古く見せるためにあの紙も中に入れた。そして俺は自分なりにそのDVDに呪いをかけた。そして翌日俺はいじめっ子たちにそのDVDを貸した。いじめっ子たちはそっち系のモノだと思い大喜びで借りて行った。しかしそのDVDを見たいじめっ子は全員翌日自殺した。そのDVDが俺が貸したものだと分かって俺に返ってきた。しかし呪いが本物だと分かった俺はレンタル屋でアルバイトを始めてこっそりとすきにあのDVDを隠して、格安で貸し出しているように見せた。そう、あんなもの持っていたら自分も危ないと思ったから。そんで昨日、3人があれを借りにきて内心すげー喜んでしまった。本当にすまない。全部黙っていて悪かった。今日でアルバイトを辞めます。」と言って店員は辞職届を出して去って行った。
後で聞いた話によるとあのDVDは寺でお祓いを受け処分されたそうだ。そしてあの店員は山奥で数年間修行して心を清めたという。