俺の従兄弟がまだ中学生だった頃の話
従兄弟は幼い時に母親を亡くし婆ちゃんと二人きりで暮らしていた
婆ちゃんは心配性でいたずらが多かった従兄弟に口うるさく小言ばかり言っていた
そんな婆ちゃんに対して従兄弟は反抗的だった
俺が小学生の頃、夏休みにはよく従兄弟の家に遊びに行っていた
タバコを教えてくれたりエロ本を見せてくれたり、刺激的で遊びにいくのが楽しみだった
そんなある日、従兄弟はバイクをパクったと言ってはしゃいでいた
俺は驚いた
婆ちゃんはいつものように仏壇の前で手を合わせていた
パクったバイクは近くの公園に隠しているらしい
その日は友達と乗り回すと言っていた
俺にも一緒についてこいと言ってくれて俺はワクワクしていた
従兄弟は身支度をしていた
婆ちゃんは夕飯の支度をしていた
出かけてくると言うと、婆ちゃんは驚いた顔で「こんな時間にどこいくの!!」と声を荒げた
従兄弟がなんとか説得をして、家を出ようとしたその時、テーブルの上の鏡がバタンと倒れた
起こすと真ん中からまっぷたつに割れていた
きっと行くなという暗示だったのだろう、今ではそう思う
結局、俺と従兄弟は公園には行かなかった
待ちくたびれた従兄弟の友達は一人でバイクに乗り、川沿いの土手から落ちたらしい
一応、命に別状はなかったけど足の神経をやっちゃったらしく、今までのようには歩けなくなったそうだ
それ以来、従兄弟は婆ちゃんコエー絶対うそつけねーと言っていた