数年前にある村のことを思い出した。
ツーリングであちこちを走っていたときに偶然たどりついた小さな旅館のある村だ。
丁寧なもてなしがとても印象的だった。
ふとまたあの村へ行きたくなった。
連休に合わせて一人でバイクを走らせた。
俺の特技は一度通った道は完璧に覚えていること。
地図を見なくともあの村への道は覚えている。
たしか村の少し手前に場所を示す看板があったはずだ。
そう思っているとすぐに看板を発見した・・・、ところがなんだかおかしい。
「この先○km」と書かれていたはずだが「巨頭オ」となっていた。
(巨頭オ?なんだそれ?)
なんとなく嫌な予感もしたがそれ以上に看板が気になったので、村の人に「巨頭オ」について聞いてみようと思ったんだ。
村の入口に入ると村は朽ち果てた廃村になっていた。
民家や建物にも草が絡みつき何十年も人が住んでいたような形跡はなかった。
俺は目の前の光景が信じられずバイクを降りて人を探してみようと思った。
ちょうどその時、20メートルほど先に頭が異常に大きい人間のようなものが現れた。
俺はわけもわからず混乱した。
周囲を見渡したら他にもそいつと同じようなものがいっぱいいる。
しかも気持ち悪い動きでこちらに近づいてくる。
両手と足をピッタリとくっるけてデカイ頭を左右に振りながら。
俺は急いでバイクをUターンさせて出せるだけのスピードを出して国道まですっ飛ばした。
帰って地図を確認したけど、数年前に行った村とその日に行った場所は合っていた。
だけどもう一度行こうとは思わなかった。