リアル千と千尋
私が小学5年生だった頃、都会から少しはなれた郊外へ引っ越すことになりました。
あれは父親の運転する車で母と私の3人で新しい家に向かっていた途中の出来事です。
なんか見覚えのない道があって、そっちの方が早くいけそうだということでそっちを通っていくことになりました。
そしたら何と行き止まり!
で前を見上げるとそこには石で出来た朱色に塗られた巨大な門があった。
少しトンネルのようになっていて、中に入れるようになっていた。
私たちはおかしいなと思いつつその中に入っていった。ていうか父が入ってみようと言い出した。
私は正直怖かったから嫌だったけど一人で残っているのも怖いので3人で中へ入っていきました・・
最初は真っ暗で何も見えなかったけど少し行くと少し広いロビーみたいなところがあって、なんかのちょっとしたテーマパークの残骸だということが分かった。
そのロビーの奥には出口がある。不思議な感覚にとらわれながら外に出てみると、そこはただっ広い少し草の生えた土地が広がっていた。
こんな広い場所なのに何もないのが不思議だった。
こうやって見とれていて、ふと振り返ると父と母がいない。
とても怖かったのを覚えてるけど、何を思ったのか私は来た方向へ戻らずに、その土地にどんどん踏み込んでいった。
すると、石で出来た小さな階段が現れ、近くに不気味な石造が置いてある所に来てしまった。
すると今まで全く聞こえなっかたのに、急ににぎやかな太鼓や笛の音が聞こえてきて、その音を頼りに進んでいくと、
現実的ではない感じの町があって、祭りがやっていた。町はにぎやかな笛の音が聞こえ、屋台もたくさんあったけどなぜか人が一人もいない。
不安もあったが、親を探さなくてはならなかったし、それなりに楽しい雰囲気だったのでしばらくその町を探索してみることにした。
しかしどこへ行っても親は見つからず、楽しいと思っていた町の雰囲気も何か不穏な感じになって、急に暗くなった。
急に怖くなった私は、思いっきり走ってその街を駆け抜けて、さっきの階段の所まで来た。
そこにはさっき気づかなかったが1つではなく無数の石造があることに気がついた。いやさっきまでは絶対1つしかなかったと確信していた。
その石造は、狛犬くらいの大きさで、不気味な目でこちらを見ている気がした。
そこで私はまた走りだして元きた門のところまでたどり着いた。
すると、なぜか両親が立っていた。まったく理解できなかったけど、父と母に会えて安心したのがなによりで、何故かさっき見てきた不思議な町のことや、両親が急にいなくなったことには触れなかった。
とにかく私は安心した。
そしてやっと帰ることが出来ると思って、3人で再び門をくぐって外に出た。
やってこれで安心できると思った。でも、乗ってきた車を見たら、妙に汚れてきて、車の中にも落ち葉や木のくずが入っていたり、蜘蛛の巣がはっていたりした。
ほんの2、3時間のことだったから自然にこうなったとは思えなかったし、いたずらにしても、こんな山道の中なので、おかしいと、子供心にそう思った。
エンジンは何とかかかったから、中のゴミを払い出して新しい家に着くことが出来たけど、あとで父と母にそのことについて聞いても
ほんのすこし入って見ていただけだったというし、私も一緒にいたという。
私が体験したことを言っても、全く信じてもらえなかった。
今もその時引越した家に住んでいるけど、あれ以来両親とその話は一切していない。
あれはいったい何だったんだろう?
本当に不思議な出来事でした。
よく考えたらあれ以来、あの道があった付近を何度も通っているけどあの時の道はもう無い気がする。