中学時代、俺は町内一のヤンキーだった。部活では注意してきた先輩を何十人も締め上げ、挙げ句の果てには生徒指導の教師にも暴行を加えるといったとんでもないやつだった。
そしてそんな俺にも中学卒業の時が近づいてきていた。俺はなんとか受かった県内の最底辺高校に行くことが決まっていたため安心していた。そして俺は卒業前最後の思い出として俺が率いていたヤンキー軍団総勢20人くらいで学校の裏山で肝試しをすることにした。全員別々のルートで頂上に一番早く着いた者が勝ちというものだった。肝試しと言っても夏じゃなくて春だったけどな。
んでまあ、当日の夜になって約20人が一斉に山に向かって行ってたのよ。ただ、その山が標高は高くないながらもかなり複雑な道になっており、軽く遭難する人が出るのもまんざらだった。迷路みたいに複雑な道を俺らは20人一人一人が別の道を進んでいく。途中で管理人のおっさんに偶然遭遇して「ここから先は、立ち入り禁止だよ。」とか言われたけど、おれは「うるせえ!」とか言って殴ってた。そう、俺が数時間後にあんなことが起きるとも知らずに。
俺はフェンスをよじ登って立入禁止区域に侵入し肝試しを続行した。すると俺は途中で何やら古びた祠のようなものを発見したので遊び半分でそれをボロボロに破壊した。その後、俺は何事もなかったかのように頂上へたどり着いた。そこには俺以外誰もいなかった。おれは「町を見下ろして「ヤッホー!!」と大声で叫んでガッツポーズをとった。
しかしその後、俺は1時間経っても誰1人来ない。しばらくは「あいつら、道迷ってんだろうな。」と思っていたが、2時間経っても誰も来ない。これはおかしいと思い、我慢の限界が来たのでもと来た道を引き返した。しかし、どれだけ走っても麓まで辿り着かない。俺は「まさか自分が道を間違えたのかなあ。」と思い、また引き返した。すると、俺がさっき祠を破壊した場所付近に巨大な岩が落ちていた。どうやら落石が起こったらしい。しかし、こんなデカい岩が落ちたのなら音が聞こえるはず。なのに俺には何も聞こえなかった。しかも岩が道を塞いでいて頂上へすらいけないので仕方なくまた麓方面へ向かって走り出した。しかし、どれだけ走れど麓にたどり着けない。しかも不思議とずっと同じ場所をぐるぐる回っているような気がしたのだ。
そのとき、俺はふとスマホを持っていたのを思い出し、安心してマップを開いた。しかし、なぜか位置が表示されない。別に充電がなくなったわけでもないのに。仕方なく俺は家にいる母に迎えに来てもらうように電話した。なんとか俺は麓にたどり着けたが俺はさっき殴った管理人と母にこっぴどく叱られた。まあ、当時はそんなの慣れてたから全然怖くなかったけど。
その後、長い説教を終えて俺が帰ろうとしたらあの20人の奴らが俺を待っていた。すると奴らは「俺ら、全員頂上までついてたのに全然来ないから待ってたけど、どれだけ経っても来ないから先に麓まで帰ってたんだよ。」と言われた。
やはりこの出来事は奇妙だと思い俺は家に帰ってからスマホであの裏山について詳しく調べてみた。すると、今から50年ほど前にあの祠があった場所で落石にあって亡くなってしまった幼稚園ぐらいの子どもがいたらしい。それも道を塞ぐくらい巨大な岩に。あの祠はその子どもを祀るためのものだったらしい。
その後、俺は一応神社に行ってお祓いを受けた。神主によると祠を破壊した俺に子どもの霊は怒りを覚え神隠し的なことをしていたらしい。しかし、俺が他の人を呼んだことによってその神隠しが効かなくなったらしい。
その後俺は高校では中学時代のヤンキーっぷりが嘘かのように真面目に勉強し大学も卒業した。そして今は大手企業に就職している。そういえばあの時に、俺は祠を破壊して霊から怒りを買って、恐ろしい体験をした。。しかしそれは「新しい生活が始まる」という暗示だったのかもしれない。