大学生だった俺は夏に友人の A,B,と3人で幽霊が出ると噂の閉鎖された廃トンネルに肝試しに行った。どうやらその場所では20年以上前に男が同棲していた彼女の遺体を遺棄したという事件があったらしく、その幽霊が出ると噂があったのだ。その後、そのトンネルは霊が出るなどと大騒ぎになり不良などから落書きなどの悪戯が相次ぎ,さらに老朽化も進んでいたこともあり新トンネルが開通、旧トンネルとなったそのトンネルは閉鎖された。
最初は車内で笑い話をしたり飲食したりしながらふざけていたが、トンネルに近づくに連れて俺はなんだか重い空気になっていたのが感じられた。ただ、自分だけ弱い者扱いされるのも嫌だし、黙っていた。
そしてトンネルの近くの道端に車を止めて降りて肝試しを開始した。近く、といっても周囲は森で旧道ということもあり、また深夜だったので人っこ一人おらず、暗くて不気味雰囲気だった。俺らは手に持ったライトで枯れ木をよけながら進んでいく。そして数分も経ったらトンネルの前に着いた。そのトンネルは思っていたよりも大きくて不気味な雰囲気を出していた。俺らはトンネルの前に張られたフェンスを登って中に侵入した。中には聞いていた通りの落書きが多く、荒れた雰囲気だった。その後何事もなく出口まで来てしまったので、Aが「なんだよ。つまんねーな。」と言った。Bも「うわー怖ーいww。うらめしやー。なんつって」とか言ってる。しかし実は怖がりな俺は内心馬鹿ビビってた。俺も2人に同意して「ほ、本当につまんないね。いっそのことなんか出てこないかなあ。」とか言ってた。するとAが「お前もしかしてビビってんじゃねーのなんかガタガタ震えてぞ?」とか言ってきた。まったく余計なお世話だ。俺は「ビビってねーし。ちょっと寒いだけだよ。」と言っておいた。その後、俺らは来た道を折り返し入り口まで出て行った。その時にも何も出なかった。
すると車へ向かう途中の森に遠くでなんだか白い服のようなものが見えた気がした。俺は一瞬ビビって2人にそのことを伝えたが、Bは「どうせ誰かが捨てたのだろう。そういう奴もいるもんなんだよ。」と言ってきた。するとその数秒後にAがいきなり「ギャァッ」と叫んだ。さすがにそれにはBも驚いたらしく「いきなり驚かすなよ。」と言っていた。するとAは「な、なんだよ狸か。」と言った。Aは「なんだよ。そりゃ山だから狸くらい出るだろ。」俺は「さっきの服も狸が化けたものだったりしてな」と言ったが、俺は内心「大声で霊に気づかれりとかしてないよね・・・」とか思ってた。するとまたさっき見た白い服が今度は少し近くに見えた。俺はまたどうせ誰かが捨てたのだろうと気にしなかった。結局その日は何も起こることなく帰った。
次の日。俺は朝起きてカーテンを開けたら近くの電柱に昨日の白い服とそっくりな白いドレスが引っかかっているのが見えた。おれは「きっと気のせいだよ。これは偶然だ。」と言い聞かせた。怖くなった俺はBの家に行った。するとAも来ていて「俺も電柱に服が引っかかっているのを見た。」と言った。それを聞いて俺はこれは偶然とは思えなくなりその日はAと一緒にBの家に泊まることにした。Bは「昨日の疲れが出てるんだろ。まあ、家が賑やかになるからいいけど。」と少し呆れている様子だった。
そこで俺とAはその事件の詳細を詳しく探ってみることにした。それもまだネットがなかった時代に起こった事件のため過去の新聞などを見て。すると今回の俺らの騒動と一致する点がいくつも見られた。
• 被害者である女性は◯害された当時白いドレスを着ていたこと
• 加害者の男は女性の服だけを流して◯害し遺体だけをトンネル内に遺棄、服は近くの森の木に引っ掛けておいたこと
うん、おかしい。どう考えてもおかしい。偶然にしては一致しすぎている。すると、Bが雑誌を買う為コンビニに行った。しかし、Bはドアを開けた瞬間に青ざめた顔で戻ってきた。どうやら目の前のスペースに白いドレスがかかっていたらしい。そこで俺ら3人は恐る恐るドアを少しだけ開けて隙間から確認した。やはり、ドレスがかかっていた。もうその日の外出はやめ夜は3人で全部屋電気をつけて一緒のベッドで寝ることにした。
翌日の朝、俺らは3人で一緒にドアを恐る恐る一緒に開けてみたら、ドレスはなかった。しかし、やはり安心はできなかった。俺らは耐え切れなくなり近くにあった神社に駆け込んだ。しかし神主は俺らを見る暇もなく「帰れ!こんなもの見せつけやがって!」ととても怒った様子で俺たちを押し返した。やはり、神社が小さすぎたからいけないのだろう。そう思った俺らは少し遠くにある有名な神社に行った。すると神主は「ちょっと待て。少しあっちの部屋で待っといておくれ。」と言った。すると俺らは何やら障子で囲まれた電気もついていない部屋に入れられた。1時間ほど待ったのち、神主と見知らぬおっさんが10人くらい入ってきた。そして、計11人のおっさん達はなにやら呪文を唱え出した。そして唱え終わったあと、神主が俺らに「では寝てくれ。」と言ってきた。俺らはとにかく自分の命が助かるのを願っていたので、すぐに眠りにつくことができた。しかし、途中で目が覚めた時に周りを見たら白いドレスを着た「何か」が変な歩き方で室内を徘徊していた。
その後お祓いが終わりその「何か」について話してくれた。やはり、俺らが肝試しに来たことに怒った被害者女性の霊らしい。それからの暮らしは、あの白いドレスを見ることも無くなったし、特に霊障も起こっていない。ただ、あの件以降白いドレスを見るのがトラウマになってしまった。
結局のところ、勝手に侵入禁止のトンネルに入った俺らももちろん悪いのだが、あのような事件を起こした犯人の男も悪いのである。もうこのような事件が二度と起きないことを願っている。