PS2のSIRENというホラーゲームには屍人という敵がプレイヤーに襲い掛かってくる。バイオハザードでいうところのゾンビのような存在だ。
赤い水に曝された状態で死亡するか体内に摂取した赤い水が一定の量を超えると屍人化してしまう。
一般的にゾンビが人間を襲う理由は人間を食べて腹を満たすためとなっている。食欲という本能だけで動いており、知能はほぼないに等しい。
一方、屍人のほうは銃を使いこなしたりとそれなりの知能は持っているようだ。生きていた時の行動を繰り返すといった特徴があり、何も写っていないテレビを見て笑ったり、包丁を使いまな板の上で何かを切っていたりと一応人間のような生活をしているように見える。
そして最大の違いが人間を襲う理由だ。
屍人の目からは周りがまるで天国のような素晴らしい世界に見えている。ゲーム中にあるキャラクターを操作する場面があるのだが、実はそのキャラクターは半屍人化しており、プレイヤーはキャラクターを通して屍人目線の世界を堪能する事ができる。その光景は蝶や花びらが舞って幻想的な世界が映し出されている。屍人が天国と思い込んでいるのもあながち間違いではないようだ。
そしてその想いが人間を襲う理由となっている。
屍人は生きていた頃の記憶を持っており屍人になった事で苦しみや悲しみから解放される事に成功した。そして他の人間も同じように解放してあげ、この素晴らしい世界を一緒に分かり合おうという気持ちから人間を襲って屍人化させようとしているのだ。
なんともありがた迷惑な話である。
しかし屍人の気持ちを考えるとそうそう無碍にもできない。キミもこっちの世界へおいでよーと歩み寄ってくる屍人を武器で殴りつけるのもなんだか申し訳ない気持ちになってくる。
そもそもSIRENは敵を倒すゲームではなく、敵の目を掻い潜って目的地に到達するというゲームなのだ。そのため武器も最小限に抑えられている。操作キャラクターによっては一切の攻撃ができない者もいる。
これからこのゲームをプレイする人も一度クリアした人も屍人を攻撃する事なくクリアを目指して挑戦してみてほしい。