墨染(すみぞめ)ダム。琵琶湖疏水の水を用いた水力発電所用のダム。墨染発電所は1912年の第二琵琶湖疏水完成に伴い、1914年5月に運転を開始。2024年現在も稼働中の現役の発電所。また墨染発電所は「琵琶湖疏水の発電施設群」として、2001年に蹴上(けあげ)発電所、夷川(えびすがわ)発電所とともに土木学会選奨土木遺産に認定された。
伏見インクライン周辺には現在桜の木が植えられ、春はお花見をする人も多いこの場所だが、実は大正~昭和初期にかけて水死体がダムに流れ着くことが多かった。このため周辺に霊が出るという話があった。しかし現在は疏水で自殺する人も減ったせいか、あまり心霊的な噂は聞かない。
疏水での自殺をテーマにした作品として、菊池寛が1916年9月に発表した短編小説『身投げ救助業』※1があるが、これは夷川発電所の手前、平安神宮周辺の疏水クランク部分が話の舞台になっている。この話は著者が京大生の時に実際に出くわした自殺未遂事件を元に書かれているが、小説後半の老婆が救助をもう一つの生業にしていたことや、娘の話などは全くの創作らしい。
しかし昔の行旅死亡人を見る限り、遺体が発見される場所は蹴上、夷川の両発電所よりも墨染の方が圧倒的に多い。その原因はよくわからないが、単純に水路の距離が長いため、上流から遺体が流れ着くことが多かったのかもしれない。
疏水での自殺を扱った作品としては、他に田宮虎彦が1949年に発表した『琵琶湖疏水』が挙げられる。
※1『身投げ救助業』, 「菊池寛 短編と戯曲」文芸春秋, 1988(昭和63)年3月25日第1刷発行, https://www.aozora.gr.jp/cards/000083/files/489_19849.html
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