この場所には、かつて有名な心霊廃墟「一平荘」があったという。
一平荘はもともと割烹旅館で、神楽坂にあった割烹「一平荘」の支店として、昭和30年(1955)頃にこの地で営業を始めたと言われている。しかし昭和50年(1975)、料亭の主人が不慮の事故で亡くなったことにより閉店する。
事故当時、ご主人は自らブルドーザーを使って、沢から旅館に続く急な斜面を舗装していたという。しかし誤って運転席から転落してブルドーザーに轢かれてしまったらしい。
その後、閉店した一平荘周辺で不可解な事件が発生したと言われる。やがてそれらは一平荘の主人の呪いだと噂され、様々な怪談話を産むこととなった。そして心霊スポットとして有名になったためか侵入者が増え、昭和54年(1979)におそらく放火と思われる火災が発生している。
当時一平荘について語られる怪談には色々なバリエーションがあったらしい。オーソドックスなものとしては、夜な夜な事故で亡くなった主人が廃墟になった旅館付近に現れるというもの。
やがて主人が事故死したという話に尾ひれが付き、「主人が精神に異常をきたし、家族と宿泊者を日本刀で惨殺した」という話に改変された。そして旅館の一室に「血しぶきの襖」なるものがあるという話もまことしやかに伝えられた。
また火災の時に逃げ遅れて死んだ、足の不自由なおばあさんの霊がバックミラーに映るという話もある。しかし前述のとおり、建物が不審火で焼けたのは閉業した後の事件なので、実際にはこの火災による犠牲者はいない。
一平荘からの帰り道で事故るという心霊スポットでは定番の怪談もあった。他にはオートマ車なのにエンストする、車のエンジンがかからない、運転手が精神に異常をきたすなどの話も聞かれた。
その後火事にあった建物は撤去され、周辺の土地は平成10年(1998)に「さいたま緑のトラスト保全第三号地」として整備され、現在は展望台が建っている。しかし一平荘の名残りも所々に残っていて、展望台の前に置かれてある石は当時の一平荘の庭石らしい。
※廃墟には、まだ心霊スポットにはなっていないけど雰囲気が怖い場所も登録されています
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