用沢小僧を祭った地蔵堂に小僧の幽霊が出る。あるいは用沢のどこかに用沢小僧を処刑した古井戸があり、そこに小僧の幽霊が出ると言われる。
用沢小僧というのは、富士市の大渕小僧の伝説と似ていて、処刑された後に祟りを起こしたため、村人に恐れられ神として祭られた少年の話。しかし大渕小僧と異なる点もある。大渕小僧は、単に悪ガキとして語られることが多いが、用沢小僧はある種の神通力(超能力)を持ち、ねずみ小僧のような義賊としての属性が加えられることもある。以下は用沢小僧が祀られている延命地蔵尊の看板に書かれている謂れの要約。
「昔、庄兵衛(しょうべえ)という少年が用沢にいた。庄兵衛は一晩で京の都に行ったり、木の葉の裏に隠れたりと不思議な術を使うことが出来た。そんなことから、村人は庄兵衛のことを「小僧、用沢小僧」と呼んだ。
庄兵衛は成長するとその神通力を使って、お大尽(大金持ち)の家から大判小判を盗み出し、貧しい人たちに分け与えていたという。小田原の殿様は庄兵衛の逮捕を命じたが、村人たちは庄兵衛のために助命の嘆願をした。しかし、もし庄兵衛を捕えなければ、村役人も村人も同罪というお達しがあり、村人たちは泣く泣く庄兵衛に酒を飲ませ、古井戸に落としてその上から石を投げ入れて庄兵衛を殺した。庄兵衛の命日は安永6年(1777)2月4日、享年22歳だったそうだ。
すると数年後、用沢村で流行り病が広がり、村人は処刑された庄兵衛の祟りに違いないと言い、庄兵衛の遺骸を井戸から引き上げ、延命地蔵尊として祀った」
『御殿場・小山の伝説』(※1)によれば、用沢小僧が落とされたのは、「ほていやさんの土地の古井戸」と書かれていて、この井戸が現在どこにあるか不明だが、近くに用沢小僧が埋められた井戸跡がまだあるのかもしれない。
(※1) 『御殿場・小山の伝説』, 勝間田二郎, 勝間田二郎(出版), 1985年7月
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