18年前位でしょうか。甥っ子が三歳頃の話です。姉と甥っ子、私の家族で高知に行きました。母方の先祖の墓もあり、義兄が仕事のため盆に休みが取れない事もあったので、旅行がてら高知に行こうという話になりました。
桂浜のすぐそばの道沿いに墓はあります。場所の名前は忘れましたが。
叔父が管理しておりましたが、忙しいときは掃除もできていない事もありました。(私たちはたまに墓参りに訪れていました)
シキビは供えてあり、このときは数日前に来たのだなとわかりました。
お盆の直前であり、回りのゴミをひらって、線香、水、お茶、花を供えて参りました。
その後、墓の前の道を渡り、海岸に降りました。
私と姉は、話をしながら歩いていました。私の息子と甥っ子、母は、先に行って、海辺ではだして歩いていました。
私たちが三人から目を離し、船を見ていたところ、母が怒って私たちを呼びました。
「あんたたち、自分の子供でしょうが!Yちゃん(甥っ子)溺れてしまうよ!人に任せるのもいい加減にしなさいよ!」
あわてて近くにいくと、母は、ズボンの膝から下と、左袖が、びしょ濡れになってました。(母は、右手が少し不自由でした)
どうしたの?と、姉が聞くと、母は怒って、「どうもこうも、Yちゃんが、波打ち際で遊びよるから、まぁ、足先が濡れてる位だし大丈夫とは思うけど、なんとなく嫌な感じがして、波に連れ去られたらいけんから、すぐに助けられるところにいないとと、考えとったんよ。S君(私の息子)は、不思議なことに絶対大丈夫だと思ってたけど」
母は、娘二人が少し離れたところにいるな、と、確認をして、ふと子供に目を移すと、甥っ子が砂に足をとられたのかしりもちついたんだそうです。助け起こそうとしたとき、そんな大したことはない波がやって来て、まるで足を引っ張るかのように甥っ子が波をかぶったのを母は、見ました。助け起こそうと手を繋いだ状態だった母は、あわてて甥っ子を引っ張りました。
頭が水に浸かって 甥っ子は、泣くでもなく、ビックリしたかのように水の中から母を見上げていたそうです。
母は、自分がびしょ濡れになりながら甥っ子を引き上げました。
「Yちゃん!大丈夫!?水を飲んでない!?」
母の様子が怖かったのか、そこで甥っ子はぐずぐず泣き出したそうです。
それを見て、安心した母は私たちを怒って呼んだのでした。
姉が声をかけると甥っ子は、ギャン泣きしながらしがみついてました。
「早く着替えさせてやらないと」と、母が言いました。
「着替え....お母さん、Yちゃん濡れてないよ。」
「そんなはずはないでしょう。頭まで漬かったのに。」
本当に、髪の毛一筋、濡れてはいなかったのです。
母のいう話が嘘ではないことはよくわかりました。
私の息子も見ていたのです。
「おばあちゃんが膝まで海に入ってYちゃんを引っ張って立たせたのをぼく見てたよ。」と。
墓のすぐ前であり、先祖さんが助けてくれたのでしょうか。
本当にあった不思議な話です。