いまから40年以上前だろうか。
自分はテレビニュースの
ビデオテープに
録画をするほど、
社会でいま起きてる事に
関心があり詳しかった。
ある日、
いつもの様にニュースが
放送されていた。
スタジオにいるアナウンサーが
「コマーシャルのあとに....」と
言ってCMに変わった。
CMが終わり、
アナウンサーの顔を見たら、
全く知らない顔の
謎のアナウンサーが出ていた。
「体調が悪くなってアナウンサーが変わったのかなぁ?」と
自分は思ったが、
なぜかおかしい。
色が茶色い軍服姿で
帽子はかぶっていないが、
アナウンスの仕方もおかしい。
何か普通の内容なのに、
口調が命令するかの様な感じで、
「先ほど、◯◯県◯◯市で
突然、道路に穴が開きました。」という内容。
「ん?。おかしい。」
実在する町ではあるが、
その町は最近、
再開発もされて、
インフラの道路整備も
きちんと整った場所だから、
年数も経たない内に
道路に穴が開くのはおかしい。
それで、
ニュースはまたCMに変わった。
そして、CM明け。
先ほどのニュースの前に出ていた見覚えのあるアナウンサーが戻って来ていたのだ。
しかし、何の前ぶれもなしに
途中でスタジオから離れるのは
やはり、おかしい。
そこで翌日、自分は放送局に
電話で問い合わせてみた。
当時はいまの様にクレーマーが少ない時代だから、問い合わせにも気さくに応じる放送局が多く、アナウンサーが取り上げた内容もきちんと把握して教えてくれる局も多かった。
事情を説明したが、放送局側は
「そんなアナウンサーはいない。」
「また、その該当のニュースを報じた覚えはない」と言うのだ。
「やはり、おかしい。」
そこで、我にかえり
思い出した。
「ビデオに録画したテープを確認しよう。何か分かるかも知れない。」
急いでビデオテープを
デッキに入れて
再生を開始させる。
すると、
「あれ?。違うニュースが入ってる。」
そう、CMに変わったのは
事実だが、
該当のニュースや
謎のアナウンサーではなく、
通常のアナウンサーが
普通のニュースを報じていたのだ。
ここで、気づく。
「あっ..。今日は8月15日だ....。」
それは何を隠そう「悲しい歴史が終わった日」だったのだ。
そして、
これには後日談がある。
この謎のアナウンサーは
すでに
その「悲しい歴史が終わる直前」に亡くなっており、
その該当の場所は過去に
大きな穴が空くほどの
光景になった事がある場所だったそうだ。