ドラえもんの最終回はいくつか存在しています。
作者が自ら手掛けた話ではなく、ファンによる非公認の創作なので『存在している』という言い方はちょっと違うかもしれませんね…。
有名なのは壊れたドラえもんを修理するために猛勉強のすえ天才科学者となったのび太がドラえもんを直すという話です。
ドラえもんらしいハッピーエンドの結末なのでファンからはこれが本当の最終回だという声もあります。
しかしもう一つ、悲劇的で絶望の最終回があります。
私の記憶では2000年頃に出回り始めたと思います。
当時は今のようにネットがまだ普及していなかったにも関わらず、全国規模で話題となりました。
それはドラえもんが存在していない世界の話です。
友達と遊んでいたのび太は急に飛び出してきた車に轢かれ意識不明の重体となりました。
なんとか命は取り留めたものの植物人間状態になりもう自らの意思で身体を動かす事はできません。
そんな中、のび太は夢を見ます。
そこではドラえもんという猫型ロボットが未来の世界からやってきて一緒にいろいろな大冒険を繰り広げます。
時には恐竜がいる時代へ行ったり、時には動物の惑星に行ったり。
もちろんしずかちゃんやジャイアン、スネ夫も一緒です。
一緒に泣いたり一緒に笑ったりいつも楽しく過ごしました。
ある日突然、のび太は夢を見るのをやめました。
だれもいない真っ暗な病室で。
夢の中のドラえもんが問いかけてきます。
「のび太くん、今度はどこに行きたい?」
しかしのび太は何も答えません。
「わかった、僕はもう行くよ」と言い残しドラえもんはどこでもドアに入っていきます。
開っきぱなしのドアから見えた世界にはいつもの空き地でいつもの仲間達がいました。
その中にドラえもんが入って行きます。
しばらくするとみんなとても悲しそうな顔をしました。
そしてこちらを向いたまま動きません。
のび太がやってくるまでみんなが動く事はありません。
のび太は夢を見るのをやめました。