山田先生へ
こんにちは。3年前に先生に大学でお世話になった関口達哉です。いきなりの手紙驚いたかもしれません。いきなりの手紙とこれから勝手に話す私の奇妙な体験を読ませてしまう御無礼をお許しください。なぜ山田先生に話すのかについては私が山田先生の大学の授業で心理学を学んだことが関係します。これから話すのは祖母の家に遊びに行ったときの話なのですが、心理学に関係あると思いました。そして何より私の身内が信用できる人がいないということでした。そこで私が大人になってから雄一信頼できる人、山田先生に話を聞いてもらいたいと思ったのです。再度迷惑だと思いますが今から聞く話の事について感想を再び送ってくださると嬉しいです。
私の祖母の家は古い民家です。これは最近知ったのですが、祖母の家は500年以上の歴史のある家でした。その事件が起きたのがお正月だったので親戚がたくさん集まりました。皆んな元気そうで和やかに話で盛り上がっていました。ですが私の両親が私を化け物を見るような目で見てくるのです。一人暮らしを初める前まではそんな目で見てくることはありませんでした。しかも私は一人暮らしをしてから初めて両親に会ったのです。なので私が両親に何かをしたとも考えられませでした。私は両親といるのがどこか気まずくて距離をおいていました。親戚のみんなで昔の話で盛り上がっているとトイレに行きたくなりました。ですが私は昔の話が聞きたく、トイレに行くか迷っていましたが、我慢できず行きました。私は10歳からの記憶が全くありません。大人になって子供の頃について記憶がなくなっていくのは知っています。ですが記憶が全く無いのです。10歳にもなっていれば少しの出来事くらいは覚えているはずです。不思議に思って昔、1日も絶やさず書いていたという日記を読んでみました。すると私の日記は10歳になってから1日も書いていなかったのです。不思議に思って一人暮らしを初めて1年目のときに電話で両親に聞いたところ、両親は焦った様子で話を逸らしました。そのことが影響して親戚に聞くのもタブー何じゃないこと思い、親戚にはその話をしてません。その日、私に関することを聞けると思っていたのにトイレに帰ってきたときには別の話に盛り上がっていました。あとから、8歳の従兄弟に何を話していたか聞いてみたのですが、不思議とだれも覚えていないのです。
この話にはまだ続きがあるのですが、とりあえず今日のところはここで区切らさせてもらいます。
私は先生の授業で人間は小さい頃の記憶は「怖い事」だけは忘れ「良い事」だけを覚えるという生存本能があるとおっしゃっていました。これは私が10歳の記憶がないのに関係あるのでしょうか。そして小さい子が瞬間的に忘れるつまり、従兄弟が何も覚えていないのには関係あるのでしょうか。
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関口くんへ
お手紙ありがとう。実は君から手紙をもらうまでは嘘だと思っていたのだけど僕のところに昔、関口くんのおばあさんから手紙が来たんだ。関口くんのご両親が関口くんに冷たいのは、君が病気だからと聞いていてた。昔、関口くんから聞いたように関口くんのおばあさんは認知症が激しいし、それで何かと勘違いだと思っていた。最初に謝っときます。ごめんなさい。そのおばあさんから聞いた内容というのは多重人格。関口くん。君は十歳の頃から関口くんじゃないんだ。関口くんの頭の中で生まれた人物。関口くんのご両親はおばあさんからそれを聞いたとき信じられなくていたのではないのですか?だが人が多重人格になるにはある程度過程があると話しただろう?けれどここからは身内でない私が口出しできることではない。自分で折をつけてください。
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この手紙が関口の家に届いて2日、山田への書きかけの一通の手紙を残して自殺した。
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山田先生へ
手紙ありがとうございます。私はすべてわかりました。これからは、もうひとりの私と一緒にいや、私が一人の人間として生きることにしました。そこで先生に絶対に伝えないといけないことがあります。それは…(書きかけ)