小埼沼(おさきぬま)。さきたま古墳群から東へ2.5Kmほど行った畑の中に、小さな雑木林のようなものがポツンとある。現在は干上がってしまい水はほとんどないが、昔ここに小埼沼と呼ばれる沼があったそうだ。またこの地は万葉集に歌われる「埼玉の津」という入江だったと長らく言われてきた。
約6000年前の縄文時代には、縄文海進の影響で東京湾がこの辺りまで入り込んでいて、万葉時代になってもその名残で、元荒川の入江がこの場所にあったということらしい。しかし近年の地質学的調査によると、この場所が「埼玉の津」であった可能性は低いという説もある。
この場所が心霊スポットと言われるのは、特定の霊が出るという事ではなく、どうもこの林の中の木を切ったり、草一本でも抜こうものなら祟りがあると言われていることが理由で、いわゆる祟り系の心霊スポットだ。そしてこの祟りの話は、この林の脇にある尾崎沼神社(宇賀神社)の伝説が関係しているらしい。
伝説によれば、昔この村に「おさき姫」と呼ばれる美しい女性が住んでいたそうだ。ある年の事、その年は日照りで雨が全く降らず、畑の作物はしおれて枯れかけていた。村の窮状を見たおさき姫は、自分が何とかして村を救えないだろうかと考えた。そして小埼沼に住む龍神を慰めれば雨が降るに違いないと思い、自(みずか)ら小埼沼に飛び込み人柱になったという。
おさき姫が沼に飛び込むと、沼から突如黒い雲がわき上がり、程なくして村には大粒の雨が降ったという。村人は自らを犠牲にしたおさき姫を稲荷大明神の化身として、沼の近くに石の祠を建てて祀ったという。これが尾崎沼神社の伝説で、村人の崇敬と畏怖の対象でもあったためか、小埼沼にあるものを1つでも取ると祟られるという伝説も生まれたようだ。
現在林の中は荒れ果てており、崩壊しかけた廃神社(天祥神宮)もあり不気味な雰囲気を放っているが、これはただ単に手入れをする人がいないと言うのではなく、祟りを恐れて周辺の整備ができないということらしい。
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